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『医としてのハンター』

  • 強大なモンスターを前に腕を振るう屈強なハンター達ではあるが、当然無傷で立ち回り続けるわけにはいかない。頑丈な防具にその身を守られていてなお、命に関わる被弾が日常であるのが狩り場だ。
  • そんな中で、パーティーの「医療」を担当するハンターとは、いわば一人野戦病院のようなものである。

回復支援をしていて思うのは、このモンスターハンターの世界の「医療」がどんなもんかということ。所々突出したオーバーテクノロジーが顔を出すこの世界ですが、日常の狩りにおける「医療」は前近代的なイメージではありますね。
 
特に情報の広域流通に即時性のない状態では、個々の工夫とその伝統がそれぞれの地域で独特の「一派」を成していく、ということになりますね。
 
つまり、医療を視野に入れるハンターは、単に回復レシピを諳んじているだけでなく、日々より有効な療法を探し、工夫しているだろうな、ということです。
 

 
と、いった感じで「ビッケの医療キット」を描いてみました。モンハンの世界に「薬研(やげん)」があるのか?ああん?」とか総ツッコミをくらいそうですが(笑)、これでゴリゴリやるのが中の人の「薬師(くすし)」の第一イメージなんですからしょうがありません。ご了承ください(笑)。
 
あ、薬研というのは画面左の円盤でゴリゴリやる器具のことですね。右の小さな引き出しのいっぱいついた箱は「百味箱・百味箪笥」と言います。個人的にこの2アイテムは絶対ないとダメです(笑)。
 
リアル現代世界でも、ヘビーデューティーなサバイバル教程なんかでは、目の前のその植物が「食えんのかどうか」を確認する方法として、
 
・その植物の汁を皮膚(前腕など)につけてみて、かぶれたりしないか調べる。
・皮膚に異常が無いようなら、ほんの少量摂取してみて、下痢などが起こらないか確認する。
・問題無いようなら、少量から徐々に量を増やしながら食用としていく。
 
といったステップを踏みますね。
 
ここで思い起こされるのは古代中国の神話に登場する神農(しんのう)です。百薬を自ら摂取し試し、漢方の基礎を伝えた医王として知られます。実際のところ春秋戦国あたりまでの医家というのも相当冒険家なところがありまして、漂泊医の集団(遍歴医)なんかは広大な中国大陸の方々へ足を伸ばし、薬効のある植物なんかを集めてまわっていたのでしょう。
 
すなわち、このくらいの「医療」とは、「どう治すか」の知識・技術とともに「そもそも何が使えるのか」に関する大変な試行錯誤が並行してあったわけです。
 
今回のイメージは、フィールドでの一夜、翌日の激戦への準備、みたいな感じですが、きっとビッケも村にあっては従来のレシピをもとに、少しずつ自らのアイデアによる「新薬の開発」に余念がないに違いありません。
 
そして、そのイメージは、「狩りの準備」に関するひとつの視点をもたらします。
 

2008.07.24 HUNTER's LOG